読書記録「人物叢書 黒住宗忠 原 敬吾著」

 1960年に発行された大変古い本だが、2011年にも新装版第6刷まで発行されている息の長い本である。「黒住宗忠」は江戸時代の終わりに宗派神道の先駆けとなる黒住教の教祖である。宗忠は相次ぐ両親の病死により心身を病み、周囲からはもう駄目だと諦められた状態から天照大神の天命を受けて自らの病を癒やし、周囲の人々の病気も治療し、その教えを広めたという人物である。この本の著者である原敬吾は、宗忠の起こした奇跡とキリストの奇跡とを対比して、それらはほとんど同じことであると述べている。黒住教は現在も岡山中心に存在する教団である。

 本文中にも述べているが、宗忠の言っている「天照大神」は、いわゆる日本の神話に出てくる天照大神だけでなく、地球や宇宙全体すべてを含む創造主を示していると思われる。宗忠は大病を患い、もう駄目だというときに、風呂に入り、太陽を拝んで「ありがたい」と感謝をすることによって「復活」したそうだ。宗忠の弟子は身分も関係なかったそうだ。

 宗忠自身や宗忠の祈りによって病気が平癒した事例が多く書かれている。昔から現在まで、不治と思われていた病が治ってしまうという現象が報告されている。現在の常識的な医学では証明ができないことであるが、実際に経験したという人の話も聞いたことがある。どうして治ってしまうのか、いまの科学では証明できないが、そのうち明らかになるのであろう。もしかしたら私の息子も助けられたのかもしれないと思うと、いまの時代に宗忠がいなくてとても残念であった。