読書記録「ほどなく、お別れです 長月天音」

 著者は長月天音(ながつき あまね)さんです。夫の5年間にわたる闘病生活を支え、死別から2年の歳月をかけて書き上げたデビュー作です。この作品は第19回小学館文庫小説賞を受賞しています。

 大学生の清水美空は東京スカイツリー近くにある葬儀場「板東会館」でアルバイトをしています。板東会館には、訳ありの葬儀ばかりを担当する漆原という男性葬祭ディレクターがいます。美咲は就職活動がうまく行かず、気分が落ち込んでいたのですが、漆原の「遺族に寄り添い、区切りとなる儀式を行って一歩先へと進むお手伝いをする」という仕事をこなす様を見て、板東会館への就職を決めます。3つのエピソードを混ぜて感動的に書いてあります。

 恥ずかしながら、電車の中で読んでいて泣いてしまいました。文章はとても読みやすく、すーっと心の中に入ってきます。美咲には霊感がありますが、本当に感動的に表現されています。小説はあまり読まない方ですが、長月さんの本をもっと読みたくなりました。是非、手に取って読んでみてください。

 ドラマ化もしくは映画化してくれないかと妄想しています。美空役には「小芝風花」さん、漆原役には「谷原章介」さんを勝手に考えています。どうか願いが叶いますように。