読書記録「ほどなく、お別れです それぞれの灯火」長月天音著

 デビュー作「ほどなく、お別れです」の次作である。前作で大学生だった清水美空は板東会館(葬儀場)の社員として働いているところから始まる。今作は社会人として美空が成長してゆく様子が中心として描かれている。相変わらず文章が読みやすく、すぐに物語の世界に没入してしまう。今回は4つの物語が書かれているが、また恥ずかしながら電車の中で泣いてしまった。

 ほとんどの人の人生はうまく行っているようで、実は意外と多くの人が突然の不幸に見舞われてしまう場合がある。葬儀というものは、残された家族にとって、次のステップに移れるように行われる儀式であることが良く理解できる。私自身も、昨年の息子との別れに続き、先月は実の母親がこの世を去った。それらはとても悲しいことであるが、葬儀社の方々の心のこもった葬儀進行に大変癒やされた。このシリーズを読むとすぐに涙腺が緩んでしまうのもそんな理由があるのだと思う。

 3作目もあるそうなので、近日中に読みたいと思っている。